2009 年 100 巻 6 号 p. 646-649
17歳男性.空手の練習中に右側腹部を蹴られたのち肉眼的血尿を認めた.CTで右腎被膜下出血を認めた.出血は軽微であり, 経過観察とした.1カ月後のCTで, 右腎周囲に腎実質を圧迫する嚢胞性病変を認めた.このころから血圧が徐々に上昇し, 160/80mmHgとなった.超音波ガイド下経皮的嚢胞穿刺を施行し, 茶褐色透明な液体を吸引した.内容液はリンパ液で, 穿刺後に血圧は低下したが, 嚢胞内容は再貯留し, 血圧が再上昇した.以上の経過から, 外傷性腎被膜下リンパ嚢腫に伴うPage kidneyと診断した.腹腔鏡下リンパ嚢腫開窓術を施行した.術後, 血圧は低下した.しかし, 手術1カ月後のCTで液体の再貯留を認め, 血圧の上昇を認めた.再手術を薦めたが, 本人の希望がなく, 現在降圧剤内服で保存的に加療中である.