2012 年 103 巻 4 号 p. 627-630
気腫性膀胱炎による膀胱破裂を来たした症例を報告する.症例は77歳,女性.脳梗塞と糖尿病のため入院中であった.発熱の精査で気腫性膀胱炎を認め,尿道カテーテル留置,抗菌薬投与による保存的治療を行うも発熱は3週間持続した.その後,尿量減少の精査でCT検査を行ったところ,膀胱壁が一部欠損し,腸管との境界が不明であった.膀胱直腸瘻が疑われ,膀胱直腸瘻疑いにて当院へ転送された.手術時に膀胱壁の後腹膜腔への穿破を認め,膀胱破裂と診断した.膀胱内の洗浄ドレナージ,尿管皮膚瘻による尿路変向術,適切な抗菌薬投与,血糖コントロールにより治癒した.気腫性膀胱炎は通常保存的治療で軽快するが,本症例のように膀胱破裂を来たす場合もあるため早期に診断し適切な治療を行うことが重要である.