2012 年 103 巻 4 号 p. 640-643
症例は72歳,男性.血液PSA高値に対する骨盤MRI検査時に,膀胱三角部に径8.5 mm大の腫瘤が偶然に発見された.膀胱鏡検査で同部に粘膜下腫瘍を認め,経尿道的腫瘍切除を施行した.病理組織検査の結果:紡錘形細胞が膠原線維を伴って不規則に増殖し,小血管も豊富に見られた.免疫染色上CD 34に陽性,Bcl-2染色は一部陽性,MIB-1 indexは3%以下で組織学的に悪性所見を認めず孤立性線維性腫瘍(Solitary fibrous tumor:SFT)と診断した.現在術後1年4カ月を経て再発転移を認めていない.SFTは間葉系腫瘍の1種であり,多くは胸膜発生とされている.胸膜外発生は少なく,特に膀胱に発生したSFTは本邦初であった.海外での報告11例と合わせて集計し考察を加える.