日本泌尿器科学会雑誌
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原著
未治療高リスク限局性前立腺癌における根治的前立腺全摘除術および拡大骨盤内リンパ節郭清の治療成績
鶴崎 俊文山崎 安人丸田 大
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2013 年 104 巻 3 号 p. 496-504

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抄録

(目的)D'Amicoリスク分類の高リスク症例における根治的前立腺全摘除術および拡大骨盤内リンパ節郭清(拡大PLND)の治療成績をレトロスペクティブに検討した.(対象と方法)2010年までの10年間に根治的前立腺全摘除術および拡大PLNDを行った未治療高リスク症例の89例を中心に検討した.術後無治療経過観察の84例で術後PSA非再発率をKaplan-Meier法,種々の因子別に有意差をlog rank testを用い検定した.(結果)病理所見ではpT3以上が32.7%,切除断端陽性が16.9%,リンパ節転移陽性が6.7%,Gleasonスコア8~10が30.3%.摘出リンパ節個数は中央値13個.術後PSA値は96.6%がPSA 0.2 ng/ml未満.術後5年全生存率・癌特異生存率は100%.術後無治療経過観察84例の術後5年PSA非再発率は73.8%.治療前3因子(cT分類,生検時Gleasonスコア,治療前血清PSA値),その陽性因子数や摘出リンパ節個数(≤13個群vs. ≥14個群)では術後PSA非再発率での有意差を認めなかったが,病理学的因子の切除断端とpT分類では有意差を認めた.(考察)我々の高リスク限局性前立腺癌における手術単独療法の治療成績は諸家の報告をくらべて良好であった.これはより広範囲の切除や拡大PLNDによるものであるかもしれない.

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© 2013 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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