抄録
女性尿道clear cell adenocarcinomaを経験したので報告する.症例は57歳女性.主訴は肉眼的血尿.腹部超音波検査・膀胱尿道鏡・CT・MRIで膀胱頸部に浸潤する尿道腫瘍を認めた.臨床病期cT3N1M0の診断で前方骨盤内臓器全摘除術,回腸導管造設術を施行した.病理組織診断はpT3N1の尿道clear cell adenocarcinomaであった.術後再発に対して,TS-1およびシスプラチンなどによる集学的治療を施行したが,術後54カ月後に多発肺転移のため死亡した.尿道clear cell adenocarcinomaは本邦において稀な症例であり,その病因および治療法について考察する.