2013 年 104 巻 5 号 p. 674-677
抗てんかん薬であるゾニサニドによる尿路結石の報告が散見される.今回,脱水を契機に短期間で両側腎尿管結石を生じた1例を経験したので報告する.症例は10歳女児.難治性てんかんにてゾニサミドを内服していた.脳室腹腔シャント感染治療で入院中に,肉眼的血尿と尿砂を主訴に2009年1月8日当科紹介.CTにて両側腎尿管結石による水腎症を認めた.3週間前のCTでは尿路結石は認めなかった.ゾニサミド誘発性の尿路結石と判断し同剤を中止するも腎機能障害と水腎症増悪を認め,右腎瘻造設術,左尿管ステント留置術を施行した.両側とも自然排石され術後1カ月時に右腎瘻抜去,5カ月時に左尿管ステント抜去となった.結石の主成分は燐酸Ca結石であった.その後の再発はない.ゾニサミド投与中には脱水等を契機に短期間でも尿路結石が発生することがあり注意を要する.