日本泌尿器科学会雑誌
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原著
去勢抵抗性前立腺癌に対するエチニルエストラジオールの有用性
林 拓自関井 洋輔片山 欽三嘉元 章人角田 洋一森 直樹板谷 宏彬吉岡 俊昭
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2014 年 105 巻 2 号 p. 37-42

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抄録
(目的) エストロゲン製剤であるエチニルエストラジオールの去勢抵抗性前立腺癌に対する効果と有用性について報告する. (対象と方法) 抗アンドロゲン療法を施行後に進行を認めた去勢抵抗性前立腺癌に対して,当科にて2011年8月以降にエチニルエストラジオール1.5~2.0 mg/日を14例に処方した.その14例を対象として,後方視的に効果と有用性について検討した.基本的にアスピリン100 mg/日とLH-RHアゴニストを併用し,個々の症例に応じて他の治療を併用した. (結果) 主な前治療はCAB(Combined Androgen Blockade)14例,ドセタキセル8例,テガフール・ウラシル9例,リン酸エストラムスチン4例であった.開始時年齢は55~85歳(中央値75.5歳),開始時PSA値は0.784~508.7 ng/ml(中央値4.842 ng/ml)であった.PSA値が低下した症例が13例(92.9%),PSA値が50%以上低下した症例が8例(57.1%)であった.奏功期間は0~18カ月(中央値7カ月)で,重篤な副作用は認められなかった. (結語) 去勢抵抗性前立腺癌の中でエチニルエストラジオールが有用な症例がある.経口投与が可能で重篤な副作用もなく,経静脈的化学療法を希望されない例あるいはドセタキセル無効例に対する選択薬の一つと考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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