2016 年 107 巻 1 号 p. 59-62
Fournier壊疽の治療では徹底的なデブリードマンが必要である.そしてデブリードマン後は創部が肛門と近いために,創部感染に対する排便コントロールが問題となる.そのために,デブリードマンと同時に人工肛門造設術を施行することがしばしばある.今回我々は2例のFournier壊疽を経験した.症例1は72歳男性,陰嚢腫大・意識障害を認めたため救急搬送.症例2は65歳男性,陰嚢腫大・発熱を主訴に救急外来へ独歩で来院.共に来院時のCT検査で陰嚢を中心に会陰部の気腫性変化を認め,Fournier壊疽の診断にて同日緊急手術を施行した.両症例ともデブリードマンは一期的に完了し,術後の排便管理には直腸カテーテル(フレキシシール®:Convatec社)を使用し,人工肛門造設術を施行せず手術は終了とした.術後経過は両症例共に創部感染を生じることなく創傷治癒し得た.Fournier壊疽の術後排便管理に対して,フレキシシール®の使用が有用であった.