日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
原著
当院における腹腔鏡下膀胱全摘除術60例の治療成績~中期の制癌効果と術式変更の効果について~
寒野 徹久保田 聖史大塚 一雄坂元 宏匡西山 隆一種田 倫之岡田 崇赤尾 利弥東 義人山田 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 107 巻 4 号 p. 220-226

詳細
抄録

(目的) 局所浸潤性膀胱癌や悪性度の高い難治性膀胱癌に対する腹腔鏡下膀胱全摘除術(LRC)は本邦おいても標準治療となりつつあるが,中長期の制癌効果に関する報告は未だ不十分である.我々は以前にLRC初期30例の治療成績を合併症と短期の制癌効果に関して報告しているが,今回は更に30例の経験を加え,LRC 60例における中期制癌効果などの治療成績を検討した.また初期30例と今回追加した30例を比較し,術式変更の効果を検討した.

(対象と方法) 2005年3月より2015年9月までに当院で施行したLRC 60例を対象とし,手術成績,制癌効果を検討した.またLRCの術式変更の効果を初期30例と後期30例を比較して検討した.

(結果) LRC 60例において合併症を47%に認め,18%はClavien分類III以上の合併症であった.5年非再発生存率,癌特異的生存率,全生存率はそれぞれ56.2%,74.4%,63.6%であった.再発は19例(32%)に認め,遠隔転移のみの再発が12例,局所のみの再発が6例,遠隔転移と局所再発の両方が1例であった.術式変更の効果に関しては後期30例において出血量は減少し,術後早期に食事開始可能であった.

(結論) LRCは中期制癌効果に関しても開腹術と比較して遜色なく,安全に施行可能であると考えられた.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top