日本泌尿器科学会雑誌
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原著
初回前立腺生検症例におけるPSA階層別陽性率の検討
牧野 哲也佐倉 雄馬後藤 健太郎市川 寛樹川島 清隆
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キーワード: 前立腺癌, 前立腺生検, PSA
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2018 年 109 巻 3 号 p. 127-130

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抄録

(目的) 初回経直腸的超音波ガイド下前立腺生検症例について,前立腺癌陽性率及び前立腺癌症例に対しては臨床病理学的事項をレトロスペクティブに検討した.

(対象と方法) 2003年から2015年の13年間に栃木県立がんセンターで行った初回前立腺生検を施行した2,246例を対象とし,PSA値と前立腺癌陽性率との関係について検討するとともに,前立腺癌症例に対しては,PSA値と臨床病理学的事項の関係を比較検討した.

(結果) 生検結果は,良性,癌,異型腺管がそれぞれ883例,1,294例,69例であり,前立腺癌陽性率は全体で57.6%であった.また,PSA階層別での癌陽性率は,PSA値が0.0~3.0,3.1~4.0,4.1~10.0,10.1~20.0,20.1~100.0,>100.0ng/mlの群でそれぞれ,27.8,39.8,53.6,67.4,88.4,100%であった.前立腺癌症例1,294例におけるPSA階層別の低リスクの割合は,PSA値が0.0~3.0,3.1~4.0,4.1~10.0,10.1~20.0,20.1~100.0,>100.0ng/mlの群でそれぞれ,0,30,22,0,0,0%であった.

(結論) 初回前立腺生検における前立腺癌陽性率は高く,PSA低値の前立腺癌は低リスクが多くはなかったという結果から,PSA値のみで前立腺癌の診断や治療方針の決定は困難であると思われる.

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