2018 年 109 巻 4 号 p. 220-224
症例は75歳,男性.嚥下障害を主訴に当院を受診,左延髄梗塞が判明し,同疾患の精査で施行したCTにて両側副腎腫瘍を認めMRIでも右に4cm大,左に1.6cm大の腫瘍を認めた.血中カテコラミン値と尿中カテコラミン代謝物の異常高値と,131I-MIBGシンチグラフィーで両側副腎に一致した集積が認められ,両側副腎褐色細胞腫と診断された.まずは腹腔鏡下右副腎摘除術を開始した.気腹を開始後,腫瘍には触れなかったが,数分で収縮期血圧が急上昇した.気腹を中止し血圧が安定したところで,気腹を再開した.しかし血圧の低下に続き心停止を来したため,手術を中止し心肺蘇生を開始した.血圧が安定したところで,挿管したままICUへ退室した.その後は血圧は140mmHg程度で推移した.大きな合併症なく経過し術後11日目に退院した.降圧薬を増量し内科的に加療中である.