日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
精索静脈瘤の臨床的研究
腎性血尿との関連性についての検討
広川 信岩本 晃明藤井 浩松下 和彦朝倉 茂夫
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 71 巻 6 号 p. 589-596

詳細
抄録

精索静脈瘤の78症例の観察のなかで, 原因不明の無症候性腎性血尿を示した14例に遭遇した. これら血尿を示す一部症例に, 腎性血尿と精索静脈瘤との関連性が考えられた. 手術時, 精索血管の高位結紮部位の内精索静脈から順行性に造影をおこない腎静脈流の状態を検討した. 対象は25例で, そのうち8症例は腎性血尿を示している.
実例をあげて, いろいろな静脈像の7例について述べた.腎内の静脈系へ逆流を示さないもの16%で, 多くの精索静脈瘤が逆流現象を示した. とくに血尿の群で, 高度の逆流をみる場合が多いことが判明した.
腎内の静脈系へ逆流を示すことは, 腎静脈流の障害を意味する. 高度な逆流を示す場合, 腎静脈圧の上昇・うつ血・腎内の微小循環異常などを生じて, 血尿が発現しても不思議でないと推論した.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top