1980 年 71 巻 9 号 p. 1047-1054
尿細胞診と尿中FDP測定を膀胱腫瘍およびそのfollow up患者を対象として行い, また膀胱組織フィブリソ沈着, 腫瘍組織 plasminogen activator activity を検索することにより以下の結論を得た.
1. 尿中赤血球, 白血球, 尿蛋白などの存在する異常尿所見を有するものにおいても, 異常尿所見を有さないものと同様, 尿細胞診と尿中FDP測定の併用は膀胱腫瘍の診断に有用である.
2. 膀胱保存手術後の follow upに尿細胞診と尿中FDP測定の併用は再発監視に有用である.
3. 膀胱腫瘍における尿中FDP出現は腫瘍組織周辺のフィブリソ沈着と, 腫瘍組織 plasminogen activator activity が関与している.
尿細胞診と尿中FDP測定の併用は膀胱腫瘍の診断・再発監視や予後判定, 治療法選択の一助となることが確認された.