1982 年 73 巻 5 号 p. 644-651
尿中高分子領域に存在する蓚酸カルシウム結晶凝集阻止活性測定法を, in vitro の non-crystal-seed system をもちいて確立し, 尿中高分子阻止活性の阻止作用様式および再発性結石患者尿中高分子阻止活性について検討を加えた. 結果, 尿中高分子物質は結晶核生成過程すなわち蓚酸カルシウムの formation product に何らの影響をおよぼすことなく結晶凝集を強く抑制することが判明した. また, 再発性結石患者と正常人の尿中高分子阻止活性を比較すると, 再発性結石患者ではこの尿中高分子阻止活性が有意に低下していた. すなわち再発性結石患者では尿中高分子阻止物質の質的変化ないしは量的減少が生じており, これが in vivo での結石形成要因として深く関与していることが示唆された.