日本泌尿器科學會雑誌
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腎体外手術を行った腎動脈瘤の3治験例
増田 宏昭藤井 一彦畑 昌宏太田 信隆鈴木 和雄田島 惇阿曽 佳郎井田 時雄
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1984 年 75 巻 10 号 p. 1652-1657

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抄録

浜松医大泌尿器科では, 先天性単腎に発生した腎動脈瘤1例を含め, 3例の腎動脈瘤を経験した. 全例に腎体外手術による腎動脈瘤切除後自家腎移植術を施行し, 良好な結果を得た. 先天性単腎の1例は, 術後急性腎不全となった. しかし9回の血液透析により腎機能は回復し良好な経過をたどった. 他の2例の術後経過も順調であった.
本邦では, 自験例3例を含め, 168例の腎動脈瘤の報告がみられる. そのうち先天性単腎に発生した症例は, 自験例を含め8例にすぎない. また腎動脈瘤の治療法として, 腎体外手術による腎動脈瘤切除例は, 自験例を含め7例であった. 腎体外手術による腎動脈切除法は術後の腎機能保存に有用であるのみならず, 動脈瘤が腎動脈分岐部またはそれより遠位側の分枝に存在し in situ で切除が困難と思われる場合でも安全に施行することができ, 積極的に行ってよい方法と考えられた.

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