1984 年 75 巻 12 号 p. 1989-1992
ラットを用いた実験的水腎症の閉塞解除後, 腎皮質における変化を電子顕微鏡を用いて観察した. 1側の尿管結紮の1週間後, 尿管膀胱吻合術を行ない閉塞を解除した, その後, 3, 6, 12, 24時間および, 2, 4, 7, 14日後に, ラットを灌流固定し腎を摘出した. 電顕的観察にて, 閉塞解除後近位尿細管細胞の microvilli の著明な脱落や細胞の膨化が認められた. これらの変化は, 回復するまでに約2週間を要した. 遠位尿細管細胞でも壊死像がみられたが近位尿細管ほど著明ではなかった. 糸球体ではほとんど変化は認められず, わずかに podocyte の軽度の膨化が観察された.