1985 年 76 巻 2 号 p. 165-173
既に報告した前立腺特異抗原γ-Seminoprotein (略してγ-Sm) をマウス (BALB/C) に免疫し, その脾細胞とマウス・ミエローマ細胞株NSI細胞との細胞融合を行ない, γ-Smに対するモノクローナル抗体産生細胞株を樹立した. この樹立細胞株から産生されたモノクローナル抗体を使用し, 血中のγ-Sm値の測定と酵素免疫測定法 (ELISA法) を確立した. その結果, 末治療前立腺癌患者群では血中γ-Sm値が高値を示し, 健常男子群, 前立腺肥大症群, 前立腺以外の悪性腫瘍群と比較して有意の差を認めた.
また, prostatic acid phosphatase 値との感度および特異性について比較検討をおこない, γ-SmがPAPに比べ前立腺癌の診断に良好な成績を得た.