日本泌尿器科學會雑誌
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水中衝撃波のフォーカシングに関する研究
体外からの腎, 尿管結石破砕を目的として
桑原 正明黒須 清一神部 広一景山 鎮一折笠 精一高山 和喜
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1985 年 76 巻 2 号 p. 174-182

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抄録

体外からの非接触的結合破砕を目的として水中衝撃波のフォーカシングについて検討した. 衝撃波はルビーレーザーを光源とするホログラフィー干渉計 (-回露光または二重露光) で観察した.
フォーカシング様式は二法について検討した. 一法 (A式) は疑似回転だ円体の遠位幾何学焦点 (E1) でアジ化鉛 (4~10mg) を爆発させて水中衝撃波を発生させ, 破砕対象を近位の焦点 (E2) に置く方式であり, もう一法 (B式) は逆の配置にしたものである. アジ化鉛の起爆はQスイッチ付きルビーレーザーによった. 結石には手術的に摘出した蓚酸カルシウムと燐酸カルシウムの混合結石, 又は活性アルミナのモデル結石を使用した. その大きさはそれぞれ8mm大, 6mm大である. これらの結石はいずれの方式によっても一回の爆発で破砕された. 爆発による衝撃波形は急峻な立ち上りを持つ三角波であり圧力の半値幅は3mm (2.0μsec) であった. 二方式によるフォーカシング状態の検討ではA式の方が理想的なもので, 4mgのアジ化鉛で焦点部の圧力は880barが得られた. B式では反射壁腔内で爆発させるため, 爆発生成気体の干渉が避けられず, 理想的なフォーカシングは得られなかった. しかし, 爆発エネルギーの利用効率は高く, 10mgのアジ化鉛の爆発では13k barが得られた. 生体への応用を考慮し, 豚脂肪 (厚さ20mm) を介在させた時のフォーカシング状態について検討したが, 二方式ともフォーカシングには変化がなかった.
以上の結果は爆発によって発生する水中衝撃波をフォーカシングすることによって結石を破砕することができ, これを体外からの結石破砕へ応用することが可能であることを示すものであった. 本法の安全性については現在, 動物実験で検討中である.

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