移植腎機能評価を目的として, 生体腎移植11例, 死体腎移植2例の合計13例において, 深部体温計を用い経時的に, 移植腎部深部温を測定した. 同時に対照部位として, 対側腸骨窩, 前額部, 移植腎部反対側大腿内側のそれぞれの深部温も測定した. 移植腎部深部温と対照部深部温を比較し, 両者の差を相対的移植腎部深部温として検討し, 次の結果を得た.
1) 急性拒絶反応の出現と共に, 相対的移植腎部深部温の低下が4例中3例にみられ, 拒絶反応の回復と共に上昇傾向を示した.
2) 急性尿細管壊死期間中, 相対的移植腎部深部温は特に有意な変化がなかった. しかし, 急性尿細管壊死期間中でも, 急性拒絶反応の出現と共に, 相対的移植腎部深部温の低下が認められた.
3) 相対的移植腎部深部温測定は, ベッドサイドで簡単に無侵襲的に行なえ, これを移植前後において比較することにより, 移植腎機能をある程度評価できた.