日本泌尿器科學會雑誌
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尿路造影剤による反応およびヨードテストの評価
宮本 慎一田宮 高宏高塚 慶次
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1985 年 76 巻 6 号 p. 875-880

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抄録

昭和51年1月から昭和59年6月の間に, 砂川市立病院泌尿器科で行った静脈性尿路造影 (IVP) での造影剤による反応を調査した.
5, 308件のIVPのうち, 何ら反応がみられなかったものは5, 023件 (94.7%), 軽度の反応が261件 (4.9%), 中等度の反応が18件 (0.3%), 重篤な反応は6件 (0.1%) で, 死亡は0であった. 反応の内容は, 悪心, 嘔吐, 発疹など軽度なものが主であり, 重篤な反応としては血圧低下, チアノーゼがみられた.
4, 224件のIVPについて, ヨードテストの判定とIVPでの反応の関係を検討した. ヨードテストが陽性で, IVPでも何らかの反応がみられたものは僅かに14件であった. 重篤な反応をみた6例では5例がテスト陰性であり, 1例では頚部に発疹をみとめたのみであったがIVPでは血圧低下をきたした.
我々の調査ではヨードテストは造影剤による重篤な反応の予知には有効ではない. 文献的にもヨードテストの価値は否定されているので, ヨードテストを廃止することを主張する.

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