成兎腎盂尿管の Adenylate cyclase activity に及ぼす dobutamine と terbutaline の影響

抄録

上部尿路において腎杯腎盂移行部に尿管蠕動の pacemaker が存在することが報告されている. しかし, pacemaker 部位の特性についての報告は少い私達は, receptor の面から pacemaker 部位の特性を研究するための手段の一つとして, 成兎の腎盂と尿管の adenylate cyclase activity に及ぼすβ₁-β₂-adrenoreceptor agonist の影響について検討した. β₁-aderenoreceptor agonist である dobutamine は腎盂の adenylate cyclase activity を上昇させるが, 尿管のそれに対しては作用を有さなかつた. β₂-adrenoreceptor agonist である terbutaline では腎盂と尿管の adenylate cyclase activity の上昇がみられた. その結果, 腎盂と尿管にはβ-adrenoreceptorが存在するが, β-subtype は腎盂に, β₂-subtype は腎盂と尿管に多く存在することが示唆された. しかし, dobutamine や terbutaline がそれぞれが必ずしも pure なβ₁-, β₂-agonist ではないため, 厳密に対応する receptor の存在を結論ずけるのは困難と思われた. 腎盂と尿管との receptor の存在の相違が pacemaker activity と何らかの関連を有するが否かについては不明な点が多く, さらに今後の検討が必要であると考えられた.