日本泌尿器科學會雑誌
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インターフェロン (IFN) の抗腫瘍効果に関する検討
(2) 進行性腎腺癌に対するIFN-γの大量間歇投与の効果
早川 正道秦野 直宮里 朝矩佐藤 健斉藤 史郎大澤 炯松尾 健治大城 清
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1987 年 78 巻 10 号 p. 1784-1791

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抄録

我々は進行性腎腺癌の5症例に遺伝子組換えヒトインターフェロンガンマー (rIFN-γ, S-6810, 塩野義) の大量間歇投与を行い, その効果について検討を加えた. rIFN-γ・15×106JUR/dayを2時間かけて5日間連日点滴静注し, これを1クールとした. 隔週で2クール行い, 以後3クール目から隔週で投与を続けた. 脳転移巣の完全寛解が1例に見られ, 肺・骨・対側腎に転移の見られる3例に対してはいずれも無効で (PD) あった.
脳転移の見られる他の1例は, rIFN-γの投与により, CT所見上, 転移巣の中心壊死がみられ, のちに外科的に切除された.
rIFN-γ投与中に, 血清IFN力価, IFN抗体の有無, ならびに種々の免疫学的モニタリングの変化について検討した. 点滴静注終了後6時間目にも537-1,200JUR/mlの高単位の血清IFN濃度が得られたが, IFN抗体はいずれの例においても認められなかった. 頻度の高い副作用として発熱, 悪寒, 倦怠感, 食欲不振がみられたが, さらに症例により関節痛, 筋肉痛や四肢の硬直化を合併した. 肝機能低下や顆粒球数減少も観察されたが, いずれも一過性であった. 発熱, 呼吸困難に引き続きショックを呈した1症例を経験したが, ステロイド剤の投与で軽快し, 以後, 抗ヒスタミン剤と下熱剤の前投与により再発は見られていない.
以上より, 2時間点滴法によるrIFN-γの大量間歇投与法は, 進行性腎腺癌に対して試みる価値のある治療法と考えられた.

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