日本泌尿器科學會雑誌
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膀胱上皮内癌に対するBCG膀胱内注入療法の検討
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萩原 正通中薗 昌明浅野 友彦塚本 拓司朝倉 博孝田所 茂林 暁山本 秀伸飯ケ谷 知彦西田 一巳
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1987 年 78 巻 10 号 p. 1803-1808

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抄録

生検により確認された膀胱上皮内癌12例に bacillus Calmette-Guerin (BCG) 膀胱内注入療法を行ない, その腫瘍消失効果を検討した. 症例の性別は男性10例, 女性2例で, 年齢は60歳から89歳に分布し, 平均年齢は73歳であった. 4例は腫瘤形成性膀胱腫瘍の既往も随伴もない上皮内癌で, 他の8例は表在性腫瘤形成性膀胱腫瘍に随伴したものであった. 腫瘤形成性膀胱腫瘍はBCG膀胱内注入療法開始前に経尿道的に切除した. 上皮内癌の異型度はG32例, G210例で, 尿細胞診は全例で陽性であった. BCGの投与方法は, まず, 導入療法として, Tokyo 172 strain BCG 80mgを生理的食塩水40mlに浮遊させ, 週1回, 合計12回膀胱内に注入した. 導入療法の効果は有効 (尿細胞診の陰性化および経尿道的生検による腫瘍病変の消失) 10例, 無効 (尿細胞診陽性の持続または経尿道的生検による腫瘍病変の存続) 2例であった. 有効例には引き続き維持療法 (BCG80mgを隔週で合計6回, さらに月1回の頻度で2年にわたり膀胱内に注入) を行ない, 1例は8カ月で再発したが, 他の9例は322カ月 (平均14カ月) の経過観察期間中再発をみない. 副作用としては, 10例に頻尿, 残尿感, 排尿痛などの膀胱刺激症状がみられ, このうち3例に肉眼的血尿, 2例に発熱を認めた.

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