日本泌尿器科學會雑誌
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Print ISSN : 0021-5287
ヒト精管, 精管膨大部における電顕的酵素組織化学
平野 大作
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1987 年 78 巻 11 号 p. 1871-1877

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抄録

ヒト精管, 精管膨大部を用いて, それらの微細構造を電顕的に観察し, さらに Gomori 法による酵素組織化学的電顕的観察を行なった. 通常電顕における精管, 精管膨大部の上皮細胞の微細構造は両者とも細胞頂部付近では多数の pinocytotic vesicle, 多胞体がみられ, 吸収作用を行なっていることを示唆している. 精管膨大部は核上野から細胞頂部にかけて分泌顆粒がみられ, 分泌作用も行なっている. さらに細胞表面では繊毛を有する上皮細胞もみられ, 平滑筋とともに能動輸送を行なっていることが判明した. ACPaseの局在は両者ともゴルジ装置, dense body, 多胞体, 二次性ライソゾームに活性がみられたが, 精管膨大部でみられた分泌顆粒にはみられなかった. すなわち両者に存在するACPaseは消化作用にのみたずさわっていることが証明された.

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