日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
新しい Fucoganglioside, Disialosyl Lea (FH-7抗原) の免疫学的検討
泌尿器系担癌患者血清レベルの測定
福士 泰夫斉藤 誠一折笠 精一
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1987 年 78 巻 11 号 p. 1878-1883

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抄録

腫瘍組織より抽出した新しい Lactosyl 系 disialosyl ganglioside, Disialosyl Lea (III4FucIII6NeuAcIV3NeuAcLc4) に対して確立したモノクローナル抗体FH-7を用い, 泌尿器系悪性疾患患者における血清中抗原レベルを測定した. 測定法は pure な糖脂質を用いたマイクロプレート法による inhibition assay で行った. 健常人の mean+2SD を cut off 値とすると, 良性疾患群では12.1%に陽性, 泌尿器系悪性疾患では腎癌25.0%, 膀胱癌51.2%, 尿管癌20.0%, 陰茎癌0%, 睾丸癌57.1%, 前立腺癌30.0%の陽性率であった. 又, 最も症例数の多かった膀胱癌での検討で, その陽性率は stage や grade と相関しなかった. この assay 法は貴重な糖脂質抗原を用いるという点で問題があり, 大量アッセイには適さないが, assay 法の検討により, 大量アッセイが可能となれば, この抗原は, 泌尿器系悪性疾患の血中マーカーとして有用なものとなると考えられる.

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