1987 年 78 巻 11 号 p. 1884-1889
外科的に採取された腎細胞癌組織を用い, Human tumor clonogenic assay (HTCA) を行い Vinblastine (VLB) に対するCa2+拮抗剤である Nicardipine の制癌作用増強効果について検討した. HTCAは, 25症例に行い11症例 (44%) が評価可能であった. IC50値でみると Nicardipine 1μM添加では1~16倍, 平均5.2倍の効果増強を, Nicardipine 10μM添加では5~189倍, 平均43.6倍の効果増強を示した. 70%コロニー形成抑制を感受性ありとすると, Nicardipine 無添加群11症例中1例 (9%), 1μM添加群9症例中3例 (33%), 10μM添加群8症例中5例 (63%) に感受性を認めた. 以上の結果より, Nicardipine は, 腎細胞癌組織を用いたHTCAにおいて, VLBの殺細胞効果を増強させることが明らかとなった.