日本泌尿器科學會雑誌
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男性生殖器系におけるクレアチンキナーゼBBの研究
吉田 利夫
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1987 年 78 巻 12 号 p. 2071-2078

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抄録

ヒト精液中には, クレアチンキナーゼBBアイソザイム (CK-BB) が多量に含まれることが知られている. 今回の研究の目的は, 1. 精漿中CK-BB活性と精子濃度, 運動率との関係. 2. 男性副性器と睾丸における組織内含有量. 3. 睾丸及び精子における免疫組織化学的局在を検討することにある.
CK-BB活性と精子濃度及び運動率のあいだには相関関係は存在しなかった. 組織内含有量においては精嚢, 前立腺, 精管膨大部に高濃度に認められた. 睾丸組織にも低値だが認められた. 免疫組織化学的検討ではCK-BBの局在は睾丸のセルトリ細胞のみならず精子細胞に存在した. さらに, 反応物質は射精された精子の尖体, 頚部, 尾部に描出された. 以上より, CK-BBは精子の運動と精子の卵子への侵入に関与する重要な酵素と考えられる.

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