日本泌尿器科學會雑誌
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ESWL単独療法による上部尿路結石の治療経験
横山 正夫東海林 文夫柳沢 良三北原 研杉本 雅幸石井 創大坂 守明
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1987 年 78 巻 12 号 p. 2079-2086

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抄録

1986年3月から1987年1月までの10カ月間に腎・尿管結石に対する体外衝撃波砕石術 (ESWL) 単独治療350例を経験したので, その成績を報告し, 問題点を検討した. 腎結石は192例, 尿管結石は139例, 腎および尿管結石は19例であった. 治療衝撃波数は平均1,552発, X線透視時間は平均2.3分, 治療時間は平均42分であった. 腎結石の破砕率は99.5%, 尿管結石では90.5%であった. stone streetの形成と治療後の側腹痛, 尿流うっ滞, 疝通発作, 発熱などの合併症は結石の増大に伴って増加したが, 尿管ステント留置により低下した. 平均入院日数は6.2日であった. ESWL治療後3カ月時点での完全排石率は全体で65%であったが, 2cm以上の結石では40%以下となり, ESWL単独1回治療の限界と考えられた. 単腎7症例は良好な成績であった. 破砕困難だった16例中15例までが長期嵌頓した尿管結石であった. 尿管カテーテル操作による合併症は尿道穿孔が3例, 尿管バルーンカテの破裂による尿管溢流が1例であった. 腎機能障害をきたした6例中5例はESWL治療を先行させたサンゴ状結石で, stone street の長期停滞と感染が原因であった.
以上より, ESWL治療は小結石に対しては治療成績も良好で, 安全かつ非侵襲的であり, 入院日数も短いなどから第1選択と考えられた. 一方, 2cm以上の結石では尿管ステントを留置し, サンゴ状結石ではPNLと併用することが治療成績の向上と合併症予防に有効であると考えられた.

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