1987 年 78 巻 2 号 p. 269-273
生体の膀胱上皮の細胞レベルでの観察が可能な contact-micro-cystoscopy の研究の一環として, Storz 社製 Micro-endoscope 27015Bを用いて生体の膀胱上皮を観察した.
0.5%クレシールバイオレットアセテート水溶液を作製し, 膀胱内に注入して5分間放置し, 十分に洗浄して観察した. 内視鏡的観察では, 粘膜の色素による染色性や凹凸不整の有無, 細胞核の大小や密集度を検討した.
正常上皮では, 色素の染色性は軽度で表面は平滑であり, 小型の核が疎に配列していた. 腫瘍性病変では, 色素の染色性は中等度で表面は不規則な凹凸を示し, 大型の核がやや密に配列していた. ただし糜爛は色素に著しく濃染され, 核の配列は非常に疎であった.
本法によって, 通常の膀胱鏡では認識できない膀胱上皮の腫瘍性病変の発見が可能であると考えられた.