日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
泌尿器科領域における癌性疼痛の対策
特にモルヒン内服について
井上 武夫長田 尚夫高橋 剛工藤 治黒子 幸一吉尾 正治黒田 俊山越 昌成中野 勝浜尾 巧大山 登星野 孝夫矢島 通孝田中 一成
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1987 年 78 巻 2 号 p. 306-310

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抄録

昭和56年4月から昭和61年3月までの泌尿器科の悪性腫瘍末期患者31名に, 鎮痛のため塩酸モルヒンを経口投与した. 20~30mg/日より始めて2日毎に増量し, 鎮痛する量を決めた. 投与法は4時間毎, 1日6回を厳守した. 22例が鎮痛され有効率は71%であった. 投与量は最小20mg/日, 最大150mg/日, 1日平均53mg, 投与日数は最短3日, 最長265日, 平均74日であった. 200日以上投与の4例を除くと平均51日であった. 副作用は便秘, 嘔吐, 傾眠, 幻覚などであったが重篤ではなかった. 疼痛が軽くなると, 休薬, 減量も可能で, 肉体的, 精神的依存性は全くみとめられなかった. 癌性疼痛に麻薬の適量はない. 鎮痛が得られるまで大胆に使用してよい. 死を目前にした50日間を疼痛で苦しまないように十分麻薬を使用し, 人生の最後を安らかに迎えられるように援助したい.

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