日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
精嚢超音波穿刺術の開発と応用
伊達 成基
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 78 巻 6 号 p. 963-972

詳細
抄録

私たちの教室では, 経直腸的リニア電子走査装置を用いた精嚢超音波穿刺術を開発した。本法は, 経会陰的精嚢穿刺を超音波リアルタイム画像でモニタでき, 精嚢内容液の採取による内容液の分析, 細菌学的検査, 細胞学的検査など種々の精嚢の検査および精嚢疾患の治療が可能となった。1981年1月より1984年6月まで, 私たちの教室において, 精嚢炎53例, 血精液症8例, 前立腺癌5例, その他2例総数68例に対し精嚢超音波穿刺術を試みた。
その結果, 本法は以下の点において有用であることがわかった。
1) 精嚢内容液の採取。
(1) 精嚢内容液の分析による生理学の研究。
(2) 精嚢炎, 血精液症の病理生理学の研究。
(3) 精嚢内容液の細胞学的検査による, 前立腺癌における精嚢への浸潤の有無。
2) 精嚢内薬液注入。
(1) 精嚢炎, 血精液症の治療。
(2) 精嚢レ線造影。
精嚢超音波穿刺術は, 近い将来, 精嚢疾患に対する新しい診断法および治療法となりえることが強く示唆された。

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
次の記事
feedback
Top