1988 年 79 巻 4 号 p. 635-642
前立腺癌患者の診断における prostate-specific antigen (PA) の有用性について, enzyme immunoassay (EIA) 法を用いて検討するとともに, PAP, γ-Smを加えた multiple marker 測定の有用性についても検討した. 未治療前立腺癌110例でのPAの陽性率は, stage A; 20%, B; 46%, C; 64%, D; 89%であった. また, PA, PAP, γ-Smの3者の同時測定を未治療前立腺癌48例に施行したところ, stage A; 0%, B; 67%, C; 60%, D; 94%となり, それぞれの single assay に比べて, 陽性率の向上がみられた.
以上より, 本法を用いて測定した血清PA値は, 前立腺癌の診断に有用であるとともに, PAP, γ-Sm測定との併用により, 診断における陽性率の向上が認められ, multiple marker 測定の有用性が示唆された.