日本泌尿器科学会雑誌
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Sonolith 2000を用いた体外衝撃波による腎・尿管結石破砕術の臨床経験
平尾 佳彦佐々木 憲二吉田 克法岡島 英五郎谷川 克己西沢 和亮岡田 敬司松下 一男河村 信夫森本 鎮義平野 敦之戎野 庄一大川 順正
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1989 年 80 巻 4 号 p. 507-516

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抄録

今回, 従来のX線透視に代わって超音波断層診断装置で結石を照準する Sonolith 2000を用いて体外衝撃波による腎・尿管結石砕石術の臨床治験を1987年3月から1987年8月の期間に, 奈良県立医科大学, 東海大学医学部および和歌山県立医科大学の3施設の泌尿器科において上部尿路結石の111症例 (男性76症例, 女性35症例) 119腎 (右側60腎, 左側59腎) の延べ119例を対象として施行した.
ESWL施行回数は, 119例に対して延べ155回施行し, 1回が89例, 2回が26例, 3回および4回がそれぞれ2例であった. 超音波断層診断装置を用いた位置決めは119例中著効即ち的確であったものが97例 (81.5%), 有効即ち略々的確であったものが20例 (16.8%) と有効以上が117例 (98.3%) であった. 結石破砕効果は119例中著効が69例 (58.0%), 有効が32例 (26.9%) で有効以上の症例は101例 (84.9%) であった. 最終ESWL施行後42日目のレントゲン撮影で残石なしが61例 (51.3%), 砂状破砕片の残っているものが20例 (16.8%), 5mm以下の小結石の残存が18例 (15.1%), 6mm以上の破砕片の残存が17例 (14.3%) であり, 自然排石が期待できる5mm以下の小結石を認める症例までを有効と判定すると本砕石術の有効症例は99例 (83.2%) であった. 本機による副作用としては, 衝撃波の入射する背部皮膚の皮下出血および血尿の出現がほぼ全例に認められたが, その他の重篤な副作用の発現はみられなかった. 総合有用度判定は, 119例中116例について評価が可能であったが, この内94例 (81.0%) が有用と判断され極めて良好な成績であった.

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