日本泌尿器科学会雑誌
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腎瘢痕のMRI診断ならびに臨床的検討
津ヶ谷 正行平尾 憲昭大田黒 和生加藤 次朗
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1989 年 80 巻 4 号 p. 532-539

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抄録

膀胱尿管逆流現象 (Vesicoureteral Reflux: VUR) ならびに反復性尿路感染症の既往を有する男9例, 女8例, 計17例29腎を対象にX線CTスキャンで裏付けしたMRIによる腎瘢痕の画像診断を試み, 臨床的検討を行なった.
その結果, MRIの腎瘢痕の所見から3つのタイプに分類できた. また腎瘢痕の grade を従来のIVPの分類をもとにMRIの腎実質の所見から5段階に分類し, 従来のIVPによる分類で比較検討したところ, IVPで些細な腎杯の変形が認められたものはMRIで瘢痕が認められ, 放射線被曝が無いMRIは腎瘢痕の画像診断において極めて有用な検査法である.
血清 creatinine 値とMRIの分類による腎瘢痕の grade との関係を検討したところ血清 creatinine 値との間に相関関係が認められた.
上部尿路感染の発症年齢やその頻度とMRIの分類による腎瘢痕の grade との関係では, 発症年齢が早期であり, 頻度が多いことが腎瘢痕の grade を高めており, 腎瘢痕の形成には上部尿路感染が最も重要な要因であることが示唆された.

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