日本泌尿器科学会雑誌
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レーザー砕石装置の特性とその使用経験
松本 哲夫三木 誠間宮 良美平田 亨清水 弘文栃本 真人伊藤 貴章秋鹿 唯男
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1989 年 80 巻 9 号 p. 1278-1285

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抄録

内視鏡による上部尿路結石摘出術 (PNL, TUL) に使用する砕石装置としては, 超音波砕石装置 (USL) や電気水圧砕石装置 (EHL) が一般的である. 最近, それらの砕石装置にない特徴を有するパルス波色素レーザー砕石装置 (MDL-1, Candela 社製) が開発された. 本装置の特性, 生体への影響について検討した上で, それを上部尿路結石症30例に用いたのでその成績を報告する.
導光ファイバー先端に発生する衝撃力を圧電素子とオシロスコープを組合せて測定した結果. 20mJ・1Hzで平均23.4mW, 40mJ・10Hzで54.4mWであり, EHLの衝撃力に比し極めて弱いものであった. また生体に与える影響もEHLに比べて軽微で, 直接導光ファイバー先端に接触した状態でレーザー光が照射されたときのみ, 上皮ないし上皮下組織までの小穿孔と軽度の出血が認められた. シスチン結石以外の結石は破砕可能であったが, この砕石効果も導光ファイバー先端が直接接触したときだけであった.
臨床例では腎結石5例, 尿管結石25例に対し, PNLを22例に, TULを8例に実施した. 24例, 80%で良好な砕石効果が認められたが, 表面平滑な硬い結石では砕石が困難であった. 副作用として2例で尿管粘膜の軽度出血を認めた. 本装置は, 細く柔軟な導光ファイバー (φ0.25mm) を用い, 生体に与える影響が少ないという点で優れた砕石装置である. 今後, TUL用の砕石装置として普及するであろう.

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