1989 年 80 巻 9 号 p. 1374-1377
経過観察中, inverted type の transitional cell carcinoma の異所性再発がみられた inverted papilloma の症例を経験した. 症例は24歳男性で1982年10月23日無症候性肉眼的血尿を主訴として当科受診. 膀胱鏡検査にて内尿道口に表面平滑な小指頭大の腫瘍がみられ, 全体像が膀胱鏡検査では把握できないため, 膀胱高位切開にて腫瘍を切除した. 組織学的検査にて inverted papilloma と診断された. その後19ヵ月, 35ヵ月, 43ヵ月, 53ヵ月後に異所性再発を繰り返し, その度に経尿道的に切除した. 組織学的検査にて大部分が内反構造を伴う transitional cell carcinoma であった. inverted papilloma は一般的には良性疾患として扱われているが, 悪性化および再発の可能性が存在することから他の膀胱腫瘍と同様に術後の経過観察が必要と考えられた.