日本泌尿器科学会雑誌
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クエン酸リアーゼを用いた血清クエン酸測定法の検討
安川 修戎野 庄一森本 鎮義上原 正樹大川 順正
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1991 年 82 巻 11 号 p. 1748-1753

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抄録

尿路結石症におけるクエン酸代謝の異常を解明するひとつの手がかりとして, クエン酸の消化管における吸収と代謝を知る目的で, 血清クエン酸本濃度の測定をクエン酸リアーゼを用いた酵素法により試みた. 本測定法を用い尿中クエン酸を測定する場合に比べ, 反応条件や検体処理に若干の相違が認められた.
反応に用いる Tris HCl buffer のpHは尿の場合の7.2とは異なり, 8.6よりアルカリ側で良好な反応が得られた. 検体は測定前に除蛋白が必要であり, これは過塩素酸を加えることにより可能であるが, このままでは反応が阻害されるため, 水酸化カリウムを加え検体を中和する必要があり, この時, 検体を冷却することが反応をよりすみやかに完了させた.
本測定法の血清におけるクエン酸の回収率は95~108%, 再現性は変動係数2.0~7.1%と良好なものであり, 本測定法によって今回測定した健常人17名 (女子1名) の血清クエン酸濃度は1.03~2.30mg/dl, 1.57±0.33mg/dl (平均±標準偏差) であった. また, 健常人7名 (女子1名) において, クエン酸製剤39を経口負荷し, 経時的に血中クエン酸濃度を測定した結果, 負荷15分後から60分後にかけて有意な血中クエン酸濃度の上昇が認められた.

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