症例は28歳男性. 主訴は勃起不全, 射精不能. 20歳を過ぎても二次性徴発現せず, 過去に2年間テストステロンの補充療法を受けていた. 内分泌学的検査ではLH, FSH, テストステロンいずれも低値であり, LH-RH負荷試験では, LH, FSHとも反応を示し, 視床下部性と診断した. ポータブル自動注入器によるLH-RHの間欠的皮下注を開始した. 投与量は2時間毎に10μg, 1日量120μgとした. 治療13週目までに精巣容量は約14mlと約4倍に増大し射精可能となった. さらに, LH, FSHおよびテストステロンも正常範囲まで増加し, 治療25週目に, 精液検査にて精子の出現を見た. この治療法は, LH-RHを自然の分泌のリズムに模倣して補うという点で生理的であり, 良好な二次性徴の発現を見た.