日本泌尿器科学会雑誌
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前立腺肥大症に対する経直腸式温熱療法の意義
岡田 清己吉田 利夫遠藤 真琴青木 豊池谷 知格吉川 哲夫平方 仁大井 知教小林 正喜清滝 修二佐藤 安男
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1991 年 82 巻 3 号 p. 455-461

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抄録

前立腺肥大症に対する局所温熱療法は非観血療法の一つとして注目されているが, いまだその効果に関しては定まった評価はなされていない. このことより, われわれは前立腺温熱治療器“プリモス”を用いて33例の前立腺肥大症症例に温熱療法を試み, 自覚的症状, 他覚的所見の変化を客観的に分析し, その効果を判定した.
治療方法は経直腸式に前立腺を1時間加温し, 週2回, 計10回施行した. 自覚的改善度判定のために各症状に点数を付け, その症状が施行前後でどのように変化するかを記載した. さらに, 他覚的には残尿測定, 尿流量測定により尿流の変化を, 前立腺触診, エコーにて前立腺の大きさの変化を測定した.
その結果, 施行前後において著明な尿流の変化がみられたが, 前立腺の大きさには変化がみられなかった. 副作用を含めた総合評価では有用37%, やや有用33%で, 70%の有用率が得られた. 主な副作用としては肛門部の落痛であった. 以上より, 前立腺局所温熱療法は前立腺肥大症の非観血的療法とし有意義な治療法であるとの結論を得た.

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