日本泌尿器科学会雑誌
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進行性尿路上皮癌に対するM-VAC療法に準じた多剤併用化学療法の臨床効果および血中SCC関連抗原値との関連性について
小谷 典之熊本 悦明塚本 泰司宮尾 則臣岩部 秀夫柳瀬 雅裕高橋 敦舛森 直哉
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1991 年 82 巻 5 号 p. 786-791

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抄録

進行性尿路上皮癌22例 (移行上皮癌18例, 移行上皮癌+扁平上皮癌3例, 扁平上皮癌1例) に対してM-VAC療法に準じた多剤併用化学療法を施行し, その臨床的検討を行った. 22例のうち, 本療法を2コース以上施行し, 評価可能病変を有していた症例は14例であり, CR3例, PR6例で奏功率は64.3%であった. 臓器別直接効果は膀胱75%, 肺100%, 皮下組織100%, リンパ節75%の奏功率を認めたが, 骨, 腸腰筋に対しては無効であった. また, neoadjuvant としての膀胱に対する効果はCR1例はT2からT0へ, PR5例のうち4例はT2からT1への down staging を認めた. 転移出現後に投与した9例のうち, CR2例はいずれも生存しているが, 無効例3例はすべて1年以内に癌死していた.
また, 扁平上皮癌の component を含んだ症例では無効例が多く, 血中SCC関連抗原値がM-VAC療法の効果予測にある程度有効であると考えられた.
副作用は白血球減少 (1,000/mm3未満) 18.2%, 血小板減少 (10万/mm3) 27.2%, 悪心, 嘔吐100%, 脱毛90.9%, 腎機能障害 (Ccr501/day 以下) 13.6%であった.

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