日本泌尿器科学会雑誌
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膀胱後部より発生した原発性胎児性癌の1例
本田 直康内田 豊昭向井 伸哉呉 幹純横山 英二真下 節夫遠藤 忠雄石橋 晃小柴 健渋谷 宗則
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1991 年 82 巻 5 号 p. 830-833

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抄録

症例29歳, 会陰部痛を主訴として1987年11月9日当科受診. 前立腺炎の診断にて2ヵ月間外来にて抗生剤の投与をうけていたが, 軽快しないため精査目的にて入院となった. 骨盤部CT, MRIにて膀胱後部に辺縁不整な膀胱に突出する腫瘍を認め, また腹部大動脈周囲のリンパ節の腫大, 両肺に多数の coin lesion が認められた. 血中のα-fetoptotein は12,170ng/mlと上昇していたことから, 遠隔転移を伴う異所性の胎児性癌と診断し, PVB, VAB-6等の化学療法および原発巣への84Gyの Liniac 照射を行うも効果なく, 1989年5月永眠した. 経過観察中, 両側睾丸は触診上および超音波診断上, 異常所見は認めず, 剖検にても異常は認められなかったことから, 膀胱後部原発の異所性胎児性癌と診断した.

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