日本泌尿器科学会雑誌
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原発性腎盂尿管癌における術後再発に関する検討
特に遠隔転移についての臨床病理学的検討
坂本 直孝内藤 誠二小藤 秀嗣中島 信能中村 元信上田 豊史熊澤 浄一
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1992 年 83 巻 5 号 p. 658-663

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抄録

治癒切除可能であった59例の腎盂尿管癌 (移行上皮癌56例, 扁平上皮癌2例, 腺癌1例) において術後再発について検討した. 術後再発は遠隔転移9例 (15.3%), 膀胱内再発19例 (32.2%) および対側腎盂尿管再発 (異時両側性) 3例 (5.1%) であった. 9例の術後遠隔転移例のうち3例は扁平上皮癌または腺癌であり, 残りの6例は移行上皮癌であった. 術後遠隔転移は全例2年以内に認められた. 遠隔転移は移行上皮癌症例において非乳頭状腫瘍, G3, high stage (pT3およびpT4), 脈管侵襲陽性, およびINFβ,γに有意に転移率が高かったが, 腫瘍の発生部位, 多発性, 膀胱癌の既往および同時発生の有無は転移率に影響はなかった. 以上より, 今回の検討では腎盂尿管癌においてはおもに主腫瘍の病理組織学的性状が術後遠隔転移に影響を及ぼしていると考えられた.

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