日本泌尿器科学会雑誌
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尿管-回盲-直腸吻合術 (回盲直腸膀胱)
ストーマからの開放を目的とした禁制尿路変更術の試み
加藤 哲郎佐藤 一成山口 哲塚田 大星小友 良能登 宏光守山 正胤
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1992 年 83 巻 5 号 p. 672-681

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抄録

Kock pouch に代表される continent urinary reservoir は尿道が使用できない場合の標準的な尿路変更術になりつつあるが, 患者は依然としてストーマと間歇導尿という不利益を蒙っている. このような問題は肛門括約筋の利用によって解決できると考えて, 著者らは尿管と直腸の間に遊離回盲弁を介在させる尿管―回腸―直腸吻合術 (回盲直腸膀胱) を導入した. 本法は尿管S状結腸吻合術に関する従来の知見を基盤にして, つぎのような趣旨をもって設計されたものである. その第一は回盲片に作成した逆流防止重積弁によって腎を保護するとともに尿管吻合部から糞を隔離して発癌を予防すること, 第二は回盲片結腸脚の補填によって直腸の蓄尿容量を増大することである. 膀胱全摘術を施行した10症例に本法を適用したが, 平均10ヵ月 (6~16ヵ月) の観察成績は排尿状況と腎機能保持の面でほぼ満足できるものであった. 本法は術式も比較的簡便であり, ストーマ不要の禁性尿路変更術として試みる価値があると考えられる.

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