日本泌尿器科学会雑誌
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気腹を必要としない後腹膜腔鏡下腎摘出術
豚を用いた検討
塩澤 寛明石橋 啓一郎鉾石 文彦洪 建偉三木 誠
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1995 年 86 巻 5 号 p. 996-999

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抄録

腹腔鏡下腎摘出術が施行されるようになってきた. 低侵襲手術としての利点が多い反面, 気腹針やトロッカーによる腸管, 血管の損傷の報告も散見される. また, CO2ガスによる気腹の生体に与える影響も無視できない. そこで, より低侵襲な手術を可能とするため, 豚4頭8腎を用いて, 腹腔を開けずCO2ガスを使用しないで腎摘出術を行う方法を検討した. すなわち27FrのY型硬性鏡の外筒に装着したコンドームに生理食塩水を注入して後腹膜腔の拡張を行い, CO2ガスを使用せずに内視鏡下腎摘出術を施行した. 8腎とも約3時間で摘出が可能であり, コンドームによる後腹膜腔の拡張は大変有用であった. 気腹を必要としない後腹膜腔鏡下腎摘出術の臨床応用の可能性が示唆された.

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