1995 年 86 巻 9 号 p. 1497-1500
27歳の男性. 肉眼的血尿及び右側腹部痛を主訴に来院し, IVPで右尿管結石と診断された. 結石は自然排石したが肉眼的血尿は持続し, 尿線が弱くなった. 前立腺は中等度に腫大し前立腺生検で前立腺横紋筋肉腫と診断された. 患者は骨盤内臓器全摘除術及びダカルバジンとアドリアマイシンの化学療法を受けた. 骨盤内臓器全摘除術後3年経過後, 胸部エックス線撮影でコインリージョンを指摘された. 検査の結果肺転移を伴った左精巣 embryonal cell carcinoma と診断され, 3コースのPVB療法を受けた. この時点で前回の前立腺腫瘍の診断は, 胎盤ALP染色が陽性だったので前立腺 seminoma と訂正された. この患者にはそれぞれ異なる前立腺及び左精巣の germinal cell tumor が異時性に発生した. 患者はPVB療法後20ヵ月現在腫瘍の再発を認めずに生存している.