日本泌尿器科学会雑誌
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Doubling Time を算定しえた巨大腎血管筋脂肪腫の1例
沖原 宏治石田 裕彦青木 正斎藤 雅人内田 睦
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1996 年 87 巻 10 号 p. 1197-1200

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抄録

32歳男性. 左側腹部痛を主訴に受診. 10年前・7年前に結節性硬化症例の診断下に腎血管筋脂肪腫 (AML) の経過観察をされていた. CT・MRIでは左腎に最大径19cmの, 右腎に最大径5cmを含む3つの腫瘍が認められた. いずれも脂肪成分が同定され, かつ多発性の左腎腫瘍の自然破裂の所見が認められた. 左腎摘除術の施行前に, 右腎腫瘍に対し選択的腎腫瘍生検を, 左腎腫瘍に対し左腎動脈本幹から塞栓術を施行した. 両腎腫瘍の組織学的診断はいずれもAMLであった.
楕円体法により各2時点における左腎AMLの doubling time を計算した (1985年~1988年: 231日, 1988年~1995年: 675日, 1985年~1995年: 428日) 本症例の doubling time から見ると, 生長過程前半の doubling time は, 後半のそれよりも速く, 必ずしも指数関数的な生長と異なることが示唆された.

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