日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
内分泌療法不応前立腺癌に対するCDDP, IFM併用療法
牧 佳男津島 知靖那須 保友公文 裕巳大森 弘之棚橋 豊子難波 克一大橋 輝久近藤 捷嘉雑賀 隆史朝日 俊彦三枝 道尚尾崎 雄治郎山下 良孝片山 泰弘小武家 誠宇埜 智越智 淳三小橋 賢二畠 和宏
著者情報
キーワード: 前立腺癌, 再燃, 化学療法
ジャーナル フリー

1998 年 89 巻 7 号 p. 657-664

詳細
抄録

(目的) 再燃前立腺癌に対して現在のところ有効な治療法はない. そこで我々は内分泌療法不応性前立腺癌に対してシスプラチナム, イフォスファミド併用療法の有効性と安全性を検討した.
(方法) 内分泌療法不応性前立腺癌に対してシスプラチンを治療第1日に70mg/m2静脈内投与, イフォスファミドを治療第1日から第5日に1.2g/m2/日を静脈内投与し4週毎に繰返した.
(結果) 27例の内分泌療法不応性前立腺癌が登録された. 27例中7例 (26%) に部分寛解 (PR), 10例 (37%) に不変 (ST) を認めた. PR 7例の効果持続期間は6から49ヵ月, 中央値16ヵ月, PR+ST 17例の効果持続期間は3から36ヵ月, 中央値10ヵ月であった. 自覚症状の改善が11例 (41%) に認められた. 全症例の生存期間は4から89ヵ月で, 3年生存率36%, 5年生存率24%, 50%生存期間23ヵ月であった. 副作用は殆どが軽度から中等度で, 貧血 (96%), 白血球減少 (89%), 食欲不振 (81%), 脱毛 (67%), 血小板減少 (44%), 血尿 (38%), 腎機能障害 (19%), 肝機能障害 (7%) が認められた. 重篤な副作用が2例に認められ, 1例は急性腎不全, もう1例はエンドトキシンショックであった.
(結論) シスプラチン, イフォスファミド併用化学療法は, 内分泌療法不応性前立腺癌に対して有効であり, 考慮してよい治療法と考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top