日本泌尿器科学会雑誌
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球海綿体反射を用いた横紋筋性尿道括約筋の筋電図学的研究
膀胱蓄尿状態による仙髄反射活性の変化に関する検討
海法 康裕浪間 孝重内 啓一郎中川 晴夫相沢 正孝竹内 晃西村 洋介大沼 徹太郎折笠 精一
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2000 年 91 巻 12 号 p. 715-722

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抄録

(目的) 球海綿体反射の誘発電位反応 (BCR-EP: evoked potential of bulbocavernosus reflex) を用いて, 蓄尿期 (横紋筋性尿道括約筋の収縮時) の仙髄反射活性を膀胱空虚時と対比して検討した.
(対象と方法) 正常男性11例と脊髄損傷 (C3~C7) による神経因性膀胱男性13例 (完全脊髄損傷5例, 不完全脊髄損傷8例) を対象とした. 陰茎背神経を電気刺激し, 尿道周囲横紋筋から導出したBCR-EPを, 膀胱空虚時と蓄尿 (膀胱充満) 時にそれぞれ測定して, 振幅の変化について検討した. また, 膀胱充満がおよぼす振幅の変化について, 膀胱充満時振幅/膀胱空虚時振幅比を求めて, 正常例とSCI例間で比較検討した.
(結果) 膀胱空虚時に比し充満時には, 正常例および脊髄損傷例ともに有意な振幅の増大を認めた. さらに, 脊髄損傷例の膀胱充満時振幅/膀胱空虚時振幅比は4.73±3.90, 正常例のそれは1.32±0.44で, 脊髄損傷例では膀胱充満による振幅の増大が顕著であった.
(結語) 正常例及び脊髄損傷例ともに膀胱充満によって仙髄反射活性は亢進し, さらに, 脊髄損傷例は正常例より亢進が顕著であった. 従来の球海綿体反射の有無による仙髄反射弓の妥当性の評価に加え, 膀胱充満による球海綿体反射の変化を観察することで, 仙髄と上位排尿中枢との連続性を評価できると考えられた.

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