日本泌尿器科学会雑誌
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妊娠を契機として急速に増大し下大静脈腫瘍血栓を伴った腎血管筋脂肪腫の1例
畠山 真吾羽渕 友則市村 靖秋濱 晋寺井 康詞郎柿沼 秀秋赤尾 利弥佐藤 滋加藤 哲郎
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2002 年 93 巻 1 号 p. 48-51

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抄録

妊娠を契機として急速に増大し, 下大静脈腫瘍血栓を伴った腎血管筋脂肪腫の1例を報告する. 症例は31歳女性. 超音法検査で異常を指摘され, CTで右腎に脂肪成分を含む直径4cmの腫瘍が発見された. 特に治療を行わず, 外来で経過観察していたが, 15ヵ月後, 出産後のCTで腫瘍直径が11cmと増大していた. 腹腔鏡下右腎全摘除術を試みたが, 術中下大静脈まで進展する腫瘍血栓を認め, 開腹による右腎全摘除術を施行した. 病理診断は腎血管脂肪腫であった. 腎血管筋脂肪腫では, 妊娠中に急速に増大する症例も報告されており妊娠可能な女性の腎血管筋脂肪腫に関しては, より注意深い経過観察と適切な時期での手術適応の判断が必要であると考えられた.

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