2002 年 93 巻 1 号 p. 58-61
症例は63歳, 男性, 排尿時痛のため当科受診. 検尿沈渣にて血膿尿を認め, 膀胱鏡にて腫瘍と発赤粘膜を認めた. 経尿道的膀胱生検にて, 腫瘍部より移行上皮癌を, 発赤部位より類上皮肉芽腫を認めた. 尿抗酸菌染色, 尿結核菌培養はともに陽性であり, 抗結核療法を開始した. 膀胱癌に対しては放射線療法と動注化学療法の併用療法を開始し, 結核のコントロールがついた後, 膀胱全摘, 両側尿管皮膚瘻造設術を施行した. 腫瘍部は大部分が移行上皮癌であり, 一部に類上皮肉芽腫を認めた.
尿路結核と尿路上皮癌の合併した報告は少なく, 本症例を含めた本邦報告10例について検討を加えた.